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人生に迷う君へ、情熱とアホとポジティブを。

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僕と父親の人生。父親の死を乗り越えて、父親と共に生きる。

僕の父親は7年前、突然この世を去りました。

 

 

父親との記憶。

 

人に優しく、自分にも優しい。

それが僕の父親。

 

休みの日は家でごろごろ。

お酒にとことん弱く、毎晩ビールを飲んでは酔っ払い訳の分からないことばかりを言っていました。

 

煙草をやめるやめると言いながら、一週間として続かない。

ビールをやめるやめると言いながら、一ヶ月として続かない。

 

来月になったら辞める。

来年になったら辞める。

それが口癖でした。

 

そしてとことん家族想い。

父の日に祖父にプレゼントをしたり、温泉旅行に連れて行ったり。

 

やんちゃ坊主だった僕は、人の家の窓ガラスを割ったり、学校のブレーカーを落としたり、弟と殴り合いをしたり。その度に父親が謝りに行ってくれたそうです。

 

涙もろく、僕の保育園の卒園式、小学校の卒業式では一番前に座ってわんわん泣いていました。

 

 

そんな父親は消防士でした。

小さい頃、母親と弟と3人で父親の消防隊の訓練を見に行ったことがあります。

 

山岳で人が遭難したことを想定し

ヘリコプターから要救助者を救助する訓練だったと思います。

 

遥か高い空の上から、心もとないようにも思えるロープを空中に投下し、

少しづつ地上へ向かって歩みを進めるその姿。

 

すげえ。

ただ、目の前の人のために。

 

家族3人、息を呑んでその光景を見つめていました。

 

家にいる時の父親とは似ても似つかぬ姿がそこにはありました。

 

父親から、仕事についての話を聞いたことはありませんが、

「人の命を預かる」というその重さに

誇りを持っていたのではないかと思います。

 

そんな父親は僕の誇りでした。

 

大人になったら。

息子が自分のことを誇りに思えるような。

そんな仕事がしたい。

 

そんなことを考えていました。

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その日は何の前触れもなくやってきました。

 

2010年11月19日。

当時高校生だった僕は、部活を終えて電車で家に帰る途中、母親からの電話でその事実を知りました。

 

「お父さんが死んだ。」

 

その一言を、その瞬間を。

僕は生涯忘れることはない。

 

時が止まったような

時計が逆向きに回り始めたかのような

 

何が起こっているのか理解できませんでした。

 

駅について母親の車に乗り、遺体の確認をするために警察署に向かいました。

交わす言葉もなく、沈黙に閉じ込められたまま。

 

そこで初めて現実を目の当たりにしました。

息絶え、横たわっている父親の姿。

もう二度と動かない、冷たくなった父親の姿。

 

いつもデカイ存在だった父親が、初めて小さく見えた瞬間。

涙すら出ませんでした。

 

これが本当の絶望。

しんどい、しんどいと人は言うけれど。

本当に絶望した時。

人は何も感じなくなる。

何も考えられなくなる。

何も言葉に出せなくなる。

そういうことを初めて知りました。

 

 

家に帰ると、二人の弟がわんわん泣いていました。

思い出しただけでも胸が苦しくなるような光景です。

 

これは夢だ。そうに違いない。

目が覚めれば、いつもの日々がやってくるはずだ。

 

そんな希望をかき消すかのように、無情な朝はやって来る。

 

お通夜。お葬式。

家族、親戚、友人、職場の人、学校の先生。

多くの人が駆けつけました。

 

ワイワイガヤガヤ。

その場を静めようとする司会の言葉も聞かず、話し続ける人々。

 

お前らは何のためにここに来たんや。

人の死がそんなに面白いか。

そんな気持ちで来るな。帰ってくれ。

 

言葉にできない感情に、胸が締め付けられました。

 

その時に掛けられた、どんな言葉も僕の心には刺さりませんでした。

 

お前らにこの気持ちが分かってたまるか。

 

 

お葬式を終え、父親の入った棺が霊柩車へと運ばれる時。

消防官たちが花道を作り、父親へ向かって敬礼を捧げていました。

 

人を救うのが仕事やのに、

なんで自分が先に死んでしもたんや。

 

もう誰にも、こんな思いをして欲しくない。

そう、強く思いました。

 

 

「ゆっくり眠ってくれ。親父がおらんくても、俺がおるから後は心配すんなよ。俺は長男やからな。家族のことは俺に任しとけ。親父、今までほんまにありがとう。」

 

 

お葬式が終わって。

また当たり前の日常がやってきました。

 

何もかも変わってしまった僕だけの世界。

何も変わらない人々の世界。

 

この前まで普通に喋ってたやんか。

一緒にご飯食べてたやんか。

なんで急におらんくなってしもたん?

なんで急に遠いところへ行ってしもたん?

どうやって生きていけばええん?

 

 

人の死は、こんなにも儚い。

一人の人間の生死なんて、世界にとってはどうでも良いことなんだ。

 

なぜ僕は生きているんだろう?

何のために生まれて来たんだろう?

 

そんなことを考えるようになりました。

 

 

そんな僕にとって、世界はどこまでも無機質で、冷たかった。

競争、競争、競争。

勝ち続けることが正とされ、心を失った社会。

 

競うような足取りで横断歩道を渡る人々。

利益だけで繋がる表面上の人間関係。

隣同士、別々のスクリーンを見つめている姿。

 

人の心はどこにいってしまったんだろう?

こんなことを考えている僕の頭がおかしいんだろうか?

 

気付けば僕は父親の死と向き合うことから逃げ、機械のように心を失っていきました。

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それから7年の時を経て。

 

父親がなぜ、死を選ぶ必要があったのか

それは今も分かりません。

 

でも、今なら。

その意味は分かる。

 

お前と同じように、心の中で苦しんでる人間を救え。

人に、希望と生きる勇気を与える人間になれ。

 

何かにそう言われているような気がするんです。

世界のどこか、何か得体の知れない大きな力が僕に向かってささやくんです。

 

そうやって生きることが、父親への唯一の弔い。

 

だから僕は生きる。生きていく。

父親がいた、いや、父親がいるから僕は生きていける。

 

 

生きていれば必ず、悲しいこと、苦しいことはやってくる。

そんな時、その感情を押し殺すのではなく

誰かと共有し、支えあい、共に生きれる社会に。

 

生まれてきてよかった。

生まれてきてくれてありがとう。

そんな言葉が飛び交うような社会に。

 

 

 

生きている、ただそれだけで人は誰かの役に立っている。

辛い時、苦しい時は思い出して欲しい。

どこかに、自分を待っている人がいるっていうことを。

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どこかに、僕を待っている人がいる。

そう信じて、僕は生きる。